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昨今のコロナの影響により、経営者の方の中には「売上も利益もジリ貧だ!」、「金融機関から早急な対策を求められている」という方も少なくないと思います。
こんな時に必要となるのが「経営改善の取組み」です。
経営改善というと社員のリストラや資産の売却などを考えやすいですが、そもそも経営改善は利益の確保をどうするかということに主な目的があり、そのために会社がすべき道筋を作ることにあります。
この記事では、中小企業がすべき経営改善の意義や目的、具体的な手法について解説いたします。
中小企業に必要な「経営改善」とは?
経営改善とは、「経営上の問題点を把握し、それをより良い方向に改善するための活動」といえます。
そのため、具体的な内容についてはそれぞれの企業で異なりますが、共通しているのは「経営者自らが考え、実践する」ということです。
企業の方向性は経営者にしか決められませんし、また、責任を取ることができるのも経営者だけです。
経営改善の方向性や手段について他の人間や専門家に助言を求めるのも時には必要ですが、あまりそれに振り回されてしまうのと、最終的な決断ができなくなってしまいます。
したがって、経営改善を進めていくためには、経営者自身がシッカリと自社の経営状態を理解することからはじめ、そのうえで適切な目標を立てて取り組んでいく必要があります。
なお、経営改善をする上でよくありがちなのが、安易な人員の削減や新規分野への参入です。状況によっては、これらの手段が必要となる場合もありますが、人員の削減はノウハウの流失の危険性があるだけでなく、再度、その人材に匹敵する人間を育成するまで多額のコストが必要となります。
また、他社でうまくいったからという安易な理由で、これまでしたことのない分野へ参入してしまうとまず、成功することはありませんし、金融機関や取引先の理解も得にくいものとなってしまいます。
したがって、経営改善をする場合には、現在の状況や強みの活かせる分野で行うというのも重要なポイントといえます。
2つの経営改善の種類と対策の違い
経営改善計画には、さまざまな種類がありますが、大きくは「経営維持・向上を目的とするのか?」、「金融機関の納得を得るために行うのか?」のいずれかに大別されます。
どちらも同じことを目的としているようですが、どちらを主目的とするかにより、とるべき対策やスピード感が変わってきます。
まず前者の場合には、主な目的となるのは「最終利益の増加」ということになります。
そしてそのために必要となるのが、次のスキームです。
① 経営の現状分析
② 売上げの増加もしくは経費削減による増益策の立案
③ 上記プランを実践するための対策の実行とモニタリングと評価
④ ③の結果にもとづく現状の再確認
⑤ 以降、同じサイクルの繰り返し。
経営改善の方法については、多くの本やサイトで解説されていますが、つまるところ経営改善で必要なのは、現状を正しく認識し、その中から問題点を見つけ、改善のための行動とチェックをし、PDCAを回していくということに尽きます。
しかし、経営改善の目的が金融機関の納得を得るためのものである場合は、これだけでは不十分となります。なぜなら、金融機関では単に売上げや利益が上がれば、それですべてよしとは考えていないからです。
一般的に金融機関では、企業の決算書をもとにして独自に財務分析を行っており、最終的に融資先企業を「格付け」という形で評価しています。
この格付けの評価の中では、売上げや利益の増加は当然、重要な項目とされていますが、評価項目はこれ以外に10〜20個もあるため、これらについてもある程度の対策ができないと全体的な評価は大きく改善しません。
つまり、金融機関の納得を得るには、売上げや利益だけでなく、金融機関が望むその他の項目についても対策をしていく必要があるということになります。
このように経営改善計画の目的が自社内だけを対象としたものであれば、売上げや利益を上げることでほぼ問題は解決できますが、金融機関向けのものを作る場合には、金融機関の考えに沿った対策も盛り込む必要があります。
中小企業が経営改善に成功できない理由
多くの企業が経営改善の必要性を頭では理解していても、そのほとんどの場合で成功できていません。また、取り組んでも、その多くが途中で脱落してしまいます。
その主な原因は
- 経営者の財務分析力の不足
- 経過に対する経営者の甘え
のどちらか、もしくは両方にあります。
経営者が売上や利益だけに注視し、その他の項目を重視しない、もしくは理解できていない場合には、利益率の低下や不良在庫などの存在に気が付きにくくなり、財務の毀損を早めることとなります。
また、せっかく経営改善計画を作っても、しっかりとその結果をモニタリングし、以降の経営に生かさなければ同じことの繰り返しとなります。
中でも失敗の理由として多いのが、改善を継続できないというケースです。
これまでもなんとかなってきたという意識があると、改善を続けるのがつらくなって途中でやめてしまったり、「この程度できていれば十分だろう」という甘えた対応になりがちです。
しかし、何度も計画を立てては中途半端にやめてしまえば、社員のモチベーションも上がりませんし、状況はかえって悪化していきます。
したがって、経営改善をすると決めたら、少なくともその期間については投げ出さずに結果を出すという姿勢が重要となります。
経営改善をいつ始めるべきなのか?
経営者の方の中には、「経営改善を始めたいが、どのタイミングで手を付けたらよいのかわからない」という方も少なからずいます。
具体的な経営改善に着手すべきタイミングは、企業の状況によるところが大きいですが、経営が危険と判断できるサインとしては、次のようなものがあります。
- 2期機以上連続で赤字が続いている
- 実質的な債務超過となっている
- 保有するキャッシュが減少し、毎月の資金繰りが厳しくなっている
- 一括での税金の支払いが難しくなっている
- 金融機関から取引条件の改善を求められた
このような状況に陥ってしまうと、自力でこれを脱するのはかなり困難となってしまいます。
したがって、経営改善をすべきタイミングとしては、このような状況になる前までというのがギリギリのタイミングといえます。
経営改善の3つのステップ
会社が経営をする上で改善を継続することは必須といえます。
しかし、その方向が間違っていたり、続けられないものならば意味がありません。
ここでは、経営改善をする上で、最低限必要となるステップについてご説明します。
経営の現状分析
経営改善をする上で、はじめに必要なのが「経営者が自社の決算書を読めること」です。
これができなければ、過去の成績や同業他社との比較ができず、改善点がどこにあるかもわかりません。
もし、現時点で自社の決算書が読めないようであれば、顧問の会計事務所や経理の方にレクチャーしてもらい、最低限でも次の項目について理解するようにしましょう。
<貸借対照表>
- 現金預金の残高と過年度と比較した増減
- 売掛金と買掛金の額とその増減
- 借入金の額とその増減
<損益計算書>
- 売上額とその増減
- 原価率とその増減
- 営業利益額とその増減
- 販管費とその増減
- 販管費の中で特に支出の多い経費の増減
- 税引き後利益額とその増減
- 減価償却額とその増減
<その他>
- 累計の青色損失額と繰り越しができる期限がいつまでかの確認
- 経常運転資金額 ※経常運転資金=売掛金+在庫-買掛金
なお、これらの増減や売上げに占める割合については、決算書2期分をエクセルに記入して比較することで簡単に比率や差分を確かめることができます。
令和2年 | 令和3年 | 増減 | 前年比率 | |
---|---|---|---|---|
売上 | 30,000 | 27,000 | ▲3,000 | 90.00% |
原価 | 9,000 | 9,100 | 100 | 101.11% |
原価率 | 30.00% | 33.70% | 3.70% | 112.35% |
粗利 | 21,000 | 17,900 | ▲3,100 | 85.24% |
売上げの増加もしくは経費削減による増益策の立案
決算書の分析により、各項目の傾向が把握できたら、次にその中からとくに重要なものや変動が大きなものをチェックします。
たとえば上記の例では、売上げが10%下がっているにも関わらず、原価率が1.1%上昇しているため粗利ベースで約15%の悪化となっています。
このため、経営を健全化するためには、売上げの増加対策と原価率の引き下げの両方の対策が必要ということがわかります。
売上の対策としては次のようなものが考えられます。
- 新規販売先の開拓
- 販売展示会への参加
- ホームページにおけるキーワード順位の上昇対策
また、原価率については、次のような方法があります。
- 仕入れ先の見直しや入札方法への変更
- 破棄ロスの削減
- 在庫率の低下対策
もし、販管費の中で突出しているものや、増加率が大きいものがある場合には同じように拾い出し、対策ができないかを考えます。
なお、経営改善計画が金融機関の要請にもとづき作成するものである場合は、金融機関の意向を取り入れた内容とする必要があります。
金融機関が経営改善で企業に求める項目としては、次のようなものが考えられます。
- 自己資本比率の改善
- 債務償還年数の圧縮
- キャッシュフローの増加
- 会社から代表者に対する貸付金の解消
これらを実現する具体策として、
- 純利益の増加や資本金の増強
- 代表者から会社に対する貸付金がある場合はその放棄や資本金への振り替え
- 借入金の返済額の増加
- 不要資産の売却
- 外注化による人件費の削減
もちろんこれらは、すぐにすべて実現できるものではありませんが、経営状態が実質的に破綻状態に近い場合や、長期にわたってリスケジュールを受けているような場合には、求められる内容もそれなりに厳しいものとなります。
そのため、このような経営改善計画を作成する場合は、事前に金融機関と協議し、「内容にどんな項目を入れるか?」や「どの程度の期間内で実施するのか?」といったことを詰めておかないと、自分よがりで金融機関の理解を得られない計画となってしまう可能性があります。
なお、金融機関が経営改善計画を評価する基準としては、次のようなものがあります。
< 経営改善計画の評価基準の例 >
① 金融機関の考えや要望を取り入れた内容であること。
② 計画の内容が合理的なもので、実現可能性が高いと判断できるものであること
③ 1年を経過した時点で計画比8割以上の実績が確保できること
④ リスケジュールをしている場合には、金融機関と決めた期間内に正常な返済ができる
もしくは返済額の増加ができること。
具体的な対策の実行とモニタリングと評価
上記で決定した課題への具体的な対策ができたら、実際にそれを実行し、継続してその結果を評価します。
その際に重要となるのが、「期間ごとの達成率の把握」です。
改善策を立ててもそのまま何もしないのであれば、「計画が予定通りに進んでいるのか?」、「計画通りの効果が出ているのか?」がわかりづらいものとなってしまいます。
また、計画が金融機関の要請で作られたものである場合には、最低でも四半期ごとにその内容を報告しなければなりません。
そのため、できれば1ヶ月ごとの結果を記入し、目標との対比をしていく必要があります。
3月 | 4月 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
実績 | 目標 | 達成率 | 実績 | 目標 | 達成率 | |
売上 | 1,580 | 1,650 | 95.8% | 1,800 | 1,750 | 102.9% |
原価率 | 30% | 31% | ▲1% | 29% | 30% | 1% |
改善計画作成のパートナー選びの注意点
経営改善計画の作成が必要となった場合、そのサポートを顧問の会計事務所やコンサルにお願いするケースが多いかと思いますが、その際にはそれらの中身に十分に注意する必要があります。
改善計画は、利益等の確保のために「何をどのようにすべきなのか?」ということが、もっとも重要な点となります。
たとえば、現在の売上が1億円、原価30%、販管費6,000万円、支払利息500万円とした場合のおよその税引き前利益は500万円となります。
しかし、経営改善計画で2,000万円の利益が必要となった場合、これを確保するために売上げを1億2,000万円にする、もしくは経費を1,000万円削減するといった乱暴なプランを立てるところもあります。
このような計画は、どうすればそれが実現できるかのプランがなければ、まったく絵に描いた餅であって、実現することは不可能といえます。
したがって経営改善のパートナーを選ぶときには、これらの点について具体的な指導ができるところかどうかも確認しておく必要があります。
まとめ
企業が経営改善をする際に、まず必要となるのが経営者の財務に対する理解力です。
とくに自社の決算書の内容がわからないというのでは、方針を立てられず、金融機関の評価も低くなります。
また、実際の計画の作成をする場合には、「自社内だけで完結できるものなのか?」、それとも「金融機関の理解を取り付ける必要があるのか?」により、打ち出すべき対策が大きく異なります。
さらに、計画を効果的に進めていくためには、定期的にモニタリングをし、達成率を確認しながら行うという工夫なども重要となります。
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- -社員のモチベーションが上がらない。
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