経済産業省が2020年に発表した「DXレポート」において、「2025年の崖問題」が提起されて以来、急速に企業におけるDXの推進が求められています。
しかし、DXは具体的な行動や対応を示すものではないため、中には「何から手をつけたらよいのかわからない」、「対応できる人材がいない」などでお困りの企業も多いと思います。DXに取組むためには、まずはDXが必要となった背景やこれまでの道のりを理解することが、スタートラインといえます。
この記事では、DXの先駆けとなった「DXレポート2」の他、さまざまなレポートや指針をご紹介しますので、DXへの取組みへの参考にしてください。
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DXの中身とは?
言葉だけが先行して取り上げられることの多いDXですが、DXの意味や目指すものを正しく理解することが取組みの第一歩となります。
DXの意味と企業が最初にすべきこととは?
DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略で、「デジタル技術を活用して新たなビジネスモデルを創出、または柔軟に改変する」ことを意味します。
DXについては、取り組む企業によりいろいろな捉え方をすることができますが、2018 年の経済産業省「デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのガイドライン」によれば、DXとは「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義されています。
つまり、その本質は「単に既存のシステムの刷新や高度化だけでなく、競争上の優位性を確立するために、企業文化を変革すること」といえます。
たとえば具体的な例として、これまでは書類への押印や営業目的の客先への常駐、対面販売などが当たり前に行われてきましたが、ITシステムが発達した現在では、これらのことはデジタル化やリモートワークにより置き換えることができます。
これらの古い慣習や企業文化を見直し、どこまで変革に踏み込むだけの意識があるかがDX化において強く求められます。
したがって、DXを表面的にとらえるのではなく、そのために自社ではどんな取り組みをすることができるのかを考えることがDX化をするスタートといえます。
なぜDXが求められるのか?
企業の中には、DX化をしなくともこれまでの事業を継続できるところはたくさんありますし、DXをしなければならない理由がわからないという方も少なくないと思います。
では、「なぜDXが求められるのか?」といえば、それはDX化に対応できない企業は、今はよくとも今後の競争においては生き残れない可能性が高いためです。
企業にDX化が求められる理由としては、主に以下のようなものがあります。
既存のITシステムの老朽化
既存のITシステムは老朽化が進行しており、このままの状態では「2025 年以降、 IT人材の引退やサポート終了等によるリスクにより、最大12兆円/年の経済損失と、業務基盤そのものの維持・継承が困難になる」と指摘されています。
これを「2025年の崖」問題といいます。
このように早急に現行システムについて対応をしなければ、今後は既存のITシステムによる更新等ができず、競争力の低下や企業価値の既存を招くこととなります。
デジタル化によるビジネスの多様化
インターネットの高速化や、ITツールの発展の中、アマゾンのような新規参入者が現れ、次々と新たな製品やサービス、ビジネスモデルが生まれています。
また、デジタル化の波は、物流や金融、製造業などといった特定の分野だけでなく、小売やサービス業なども含めたあらゆる分野で広まっていることから、この流れに乗れない企業は競争力を失っていくことが予想されます。
アフターコロナ後のニューノーマルへの対応
「ニューノーマル」とはニュー(新たな)ノーマル(常態)を意味する造語であり、主にコロナ禍により引き起こされた生活様式の変化を意味します。
しかし、ニューノーマルよる変化は単にマスクの着用や三密の回避ということ生活様式の変化にとどまらず、リモートワーク主流の働き方やオンライン会議などDXの進展とともに、これまでの働き方や社会のあり方まで変えつつあります。
したがって、今後のニューノーマル様式による変化に対応できない企業は、単なる設備面での対応にとどまらず、人材の採用や育成などの面においても取り残される危険性があるといえます。
経営計画書、規定書、マニュアルも電子化
経営計画書や規定書、社内マニュアルの電子書籍化を進めましょう。
DX化に向けて企業がとるべき対応について
企業が今後、これまでの古い慣習を改め、DX化をすすめていくには、いくつかのステップに分けて取り組んでくことが有効とされています。
ファーストステップ
①業務環境のオンライン化
- テレワークシステムなどを活用したリモートワークへの対応
- オンライン会議システムによる社内外の会議のオンライン化
- 経営計画書、規定書、マニュアルの電子書籍化
②業務プロセスのデジタル化
- クラウドストレージを用いたペーパレス化
- 営業活動のデジタル
- RPA を用いた定型業務の自動化
※ RPAとは「Robotic Process Automation /ロボティック・プロセス・オートメーション」の略語で、ロボットによる業務プロセスの自動化のこと
③顧客接点のデジタル化
- 電子商取引プラットフォームによる EC サイトの開設
- チャットボット等による電話応対業務の自動化・オンライン化
DX化へのスタートとしては、以上のような取り組みが考えられますが、これらはDX化をすすめるための準備に過ぎず、さらにこれらを短期的、中長期的対応へと発展させるには以下のような施策が必要となります。
短期的アクション
①DXの推進の役割・権限等の明確化
DXの推進には経営トップによるリーダーシップが不可欠ですが、それを実現するにはDXに関する知見を有し、DXのプランを実行できる人材が不可欠となります。
また、このような人材を配置する際には、その人間にどのような役割や権限を与えるかについても明確にしておく必要があります。
②DX推進に向けた共通の理解の形成
DXを推進する関係者の間で、基礎的な共通理解を形成することができて、次のステップに進むことができます。そのため、DXを推進する立場のIT 部門が、経営層や事業部門と対等な立場で議論できるようなマインドや環境が形成されることが望まれます。
③遠隔地コミュニケーションを可能にするインフラ整備
DXを効率的に進めるには社内だけでなく社外の企業への外注や提携も重要となりますが、その際にはスムーズな意思疎通が可能となるインフラの整備が課題となります。
中長期的アクション
①他社との共通プラットフォームの形成
IT投資の効果を高めるためには、業界内の他社と協調領域を形成するにとどまらず、さらに提携をすすめて共通プラットフォームを形成することも検討すべき課題となります。
②小規模な開発体制の構築
今後のデジタル時代においては、小規模な開発→市場への投入→仮説・検証というプロセスを通して、製品やサービスの改善につなげていくことが有効です。(アジャイル開発)
しかし、こうした開発体制の変革は自社だけでは実現することが難しいため、それに向けた技術やノウハウを提供してくれる企業との共同開発体制の構築が重要となります。
③人事制度の見直しとDX人材の確保
DX化に必要な人材を内部で育てるには、コストや時間がかかるだけでなく、それに適した人事制度も構築していく必要があります。
また、このような人材を外部から採用する場合には、会社に十分な理解や待遇制度の整備などが求められます。
DXを基礎から理解するために役立つレポート
DXの概念は抽象的であり、具体的に取るべき対応もその企業の状況に応じて異なるため、表面的な部分だけを模倣していたのでは、本当の意味での理解や運用をすることは難しいといえます。
そのため、DXについてきちんと理解するには、まずDXの基本的な概念や進め方についてまとめられたレポートを活用することが効果的となります。
ここでは政府や専門機関がまとめたDXに関する各種レポートとその概要をご紹介します。
「DX レポート~IT システム「2025 年の崖」の克服と DX の本格的な展開」(経済産業省) 平成 30 年 9月
【概要】
『DXレポート ~IT システム「2025 年の崖」とは、平成 30 年9 月に経済産業省のワーキンググループで作成されたレポートで、DX推進の現状と課題、対応策についての考察、今後の見通しなどについてまとめられたDXに関するレポートの先駆けとなります。
とくにその中でも「今後、十分なDXが推進されない場合には、 IT 人材の引退やサポート終了等によるリスクにより、2025 年以降、最大12 兆円/年の経済損失が生じ、業務基盤そのものの維持・継承が困難になる。」という提言は「2025 年の崖」と呼ばれ大きな話題となりました。
DXブームのきっかけとなったレポートであり、この後に発表された各種のレポートはいずれもこのレポートの影響を受けているという意味でも、DXについて理解するのであれば、ぜひ、目を通しておきたいものとなっています。
「DX レポート2」中間取りまとめ(経済産業省) 令和2年12月
【概要】
このレポートは前述の「D X レポート」を受けて、経済産業省が令和2年に作成したものです。
「DXレポート」の公表後も、企業によるDXが進まない状況に鑑み、さらなる取り組みの推進のため、具体的な対応について踏み込んだものが本レポートであり、とくに多くの方に読まれているものとなっています。
このレポートでは、DXの本質に言及するとともに、企業の取るべきアクションを【ファーストアクション】、【短期的アクション】、【中長期的アクション】の3 段階に分け、各ステップにおける対応や、実際の取組みのための指針について解説しています。DXについてさらに詳しく知りたいという方だけでなく、今後の自社の状況にあった対策を知り、経営に活かしたいという方にとくにおすすめできます。
「DXレポート2.1(DXレポート2追補版)」令和3年8月
【概要】
「DXレポート2」の公開された後「DXレポート2.1」と「DXレポート2.2」が発表されています。これらのレポートでは、より具体的なDXのアクションやデジタル産業の創出に向けた方策が示されています。
具体的な違いとして、「DXレポート2」では、デジタル産業の定義や現状分析、成長戦略の方向性を示していますが、「DXレポート2.1」では、デジタル産業におけるガバナンスの重要性と具体的な指針や指標を示しています。
「DXレポート2」では、デジタル産業を6つのカテゴリー(プラットフォーム・サービス・コンテンツ・ハードウェア・インフラ・ソフトウェア)に分類していますが、「DXレポート2.1」では、デジタル産業を3つの層(基盤層・応用層・利用層)に分類しています。
「DXレポート2.2」令和4年7月
【概要】
「DXレポート2.2」は、デジタル産業の創出に向けた研究会の報告書です。この報告書では、以下の4つの観点からデジタル産業の変革を提言しています。
- デジタル産業とは何か:デジタル技術を活用して新たな価値を創出する産業であり、従来の産業分類にとらわれない横断的な視点が必要である。
- デジタル産業の現状と課題:日本ではデジタル産業が十分に発展しておらず、人材不足や規制・制度、社会的受容性などが課題となっている。
- デジタル産業の成長戦略:デジタル人材の育成・確保、データ流通・活用促進、イノベーションエコシステムの構築、国際競争力の強化などを柱とした成長戦略を策定する。
- デジタル産業におけるガバナンス:デジタル技術やサービスに関する利害関係者間の信頼関係や協調関係を構築するために、「デジタルガバナンス・コード」を改訂し、「DXレポート2.1」で示した指針や指標を具体化する。
「デジタルガバナンス・コード2.0」(経済産業省) 令和4年9月
【概要】
これまでDX化推進の指標として「デジタルガバナンス・コード」や「DX推進ガイドライン」が公表されてきましたが、最近の社会情勢や企業の取組みを踏まえ、この2つを統合することが望ましいと考えられたことから、新たに「デジタルガバナンス・コード2.0」が作成されました。
この「デジタルガバナンス・コード2.0」は、情報処理促進法と対応したものとなっており、以下の内容で構成されています。
1.ビジョン・ビジネスモデル
2.戦略
2−1.組織づくり・⼈材・企業⽂化に関する⽅策
2−2.IT システム・デジタル技術活⽤環境の整備に関する⽅策
3.成果と重要な成果指標
4.ガバナンスシステム
また、各章ごとに以下の構成となっているため、
- 基本的事項
- 認定基準
- 望ましい方向性
- 取組例
それぞれの章における課題や対応すべき事項が明確になっており、これからDX化に取り組む企業の貴重な指針となります。
「デジタルトランスフォーメーションに向けた課題の検討~ IT システムに関する課題を中心に ~」(経済産業省)
【概要】
このレポートは、主に IT システムに関する課題の面からまとめたものとなっていますが、技術者だけでなく、それ以外の方が読んでも理解しやすい内容となっています。
企業がDXに取り組む意義や、IT 技術者が具体的にDX対応をしていく上での課題について、取り組みの方法や手順がイラストを使って、わかりやすく説明されています。
資料のボリュームも全8P と少ないので、短い時間で「DXへの具体的な対策の方法を知りたい」という経営者や技術者の方におすすめです。
「DXの実現に向けた取り組み」(独立行政法人情報処理推進機構) 2020年6月
【概要】
本レポートは、多くの企業で未だにDXがビジネスの変革に繋がっていない現状を踏まえ、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が各企業のDX推進状況を収集・分析し、それにもとづきDXの実現における技術的課題とその対応策についてまとめたものです。
また、この資料では、企業が利用しているITシステム全体及びシステムごとの充足度を評価するための指標として、「PF(プラットフォーム)デジタル化指標」に関する説明とステップごとの進め方についても解説しています。
さらに企業規模別の数値の傾向や、PFデジタル化指標についての理解も得られるため、経営者や技術者の方におすすめできる内容となっています。
「デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査」(独立行政法人情報処理推進機構) 2020年5月
【概要】
本レポートは、2018 年度に実施した「デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査」の後続編として、さらに課題の深堀や、取組状況の継続把握、事例の拡充等についてまとめたものとなっています。
3,000 社の企業へのアンケートをもとにした、IT 人材個人の学び直し及び転職に関する意識に関するデータが掲載されていることから、DX人材の育成や採用を検討する企業にとっての貴重なデータとなります。
DXにかかるコスト
DXへの取組みには、通常、次のようなコストがかかります。
社内体制等の構築費
- 社内プロジェクトチームの立上げ費用
- プロジェクト運営のための人権費
- 専門家の招聘に要する経費
- 専門機関へのコンサルティングの経費
施策の企画・開発、研究費
- 機械等の設計、改修費
- 生産や加工施設などの賃貸や建設
- 器具やソフトウェア等の購入、リースに要する経費
- 各種の外注費
宣伝広告費
- 宣伝広告に関する経費
- 展示会出展、セミナー開催、市場調査等に関する経費
人材の育成等の費用
- DX人材の育成、採用に関する経費
- 育成等に必要な教育訓練、OJTに関する経費
実際にどの程度の費用がかかるかは、事業の規模や開発の時間、企業の技術力等により大きく異なりますが、これらの項目の多くの部分が補助金や助成金の対象となっているため、これらを活用すれば大幅なコストの削減が可能となります。
DXの推進に役立つ補助金や税制
DXを推進するためには一定の費用や先行投資が必要となりますが、以下の補助金や税制を活用することで、その負担を軽減することができます。
地域新成長産業創出促進事業費補助金 (地域 DX 促進活動支援事業)
地域新成長産業創出促進事業費補助金とは、地域企業で取組が遅れている DXを強力に推進し、地域企業の生産性を向上させることを目的とし、地域企業が DXを実現させるために必要な経営・デジタルに関する専門的知見やノウハウを補完するための各種支援活動(課題分析・戦略策定支援、ソリューション提供事業者とのマッチング支援等)に要する費用を補助するものです。
公募期間:令和5年2月13日から令和5年3月6日
公募要領:
https://www.meti.go.jp/information/publicoffer/kobo/2023/downloadfiles/k230213005_1.pdf
補助上限 | 補 助 率 | 補助対象経費 | |
業種特化型 | 3,000万円 | 10/10 | 人件費、事業費、旅費、会場費、謝金、備品費、借料、消耗品費、印刷製本費、広報費、その他諸経費、委託・外注費 |
サイバーセキュリティ対策拡充型 | 1,000万円 | 10/10 | 人件費、事業費、旅費、謝金、委託・外注費 |
<業種特化型>
企業がDX 戦略を策定またはサイバーセキュリティ対策をするためのサポート(伴走型支援)や、支援ノウハウのコンソーシアム内での共有・横展開の仕組みの構築などに関し支給。
<サイバーセキュリティ対策拡充型>
企業がサイバーセキュリティ対策をするためのサポート(伴走型支援)に関し支給。
なお、補助事業者は、補助事業の実施にあたっては、事務局及び主な支援対象地域を所管する地方の経済産業局と連携(定期的な事業進捗の報告や意見交換、成果報告会を連携して開催する等)する必要があります。
IT 導入補助金
IT 導入補助金は、中小企業や小規模事業者が自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助することで、業務効率化・売上アップをサポートするものです。
通常枠 | ||
種類 | A類型 | B類型 |
補助額 | 30万~150万円未満 | 150万~450万円以下 |
補助率 | 1/2以内 | |
プロセス数 | 1以上 | 4 以上 |
IT ツール要件(目的) | 類型ごとのプロセス要件を満たすものであり、 労働生産性の向上に資するITツールであること。 | |
賃上げ目標 | 加点 | 必須 |
補助対象 | ソフトウェア費・クラウド利用料(最大1年分補助) ・導入関連費等 |
ものづくり補助金
ものづくり補助金(商業・サービス生産性向上促進補助金)は、中小企業・小規模事業者等が今後の制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するために取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するものです。
一般型 | 補助上限 | 補助率 |
[通常枠] | 750 万円~1,250 万円 | 1/2 小規模事業者等 2/3 |
[回復型賃上げ・雇用拡大枠] | 750 万円~1,250 万円 | 2/3 |
[デジタル枠] | 750 万円~1,250 万円 | 2/3 |
[グリーン枠] | 1,000万円~2,000万円 | 2/3 |
グローバル展開型 | 3,000 万円 | 1/2 小規模事業者等 2/3 |
持続化補助金
小規模事業者持続化補助金(=持続化補助金)は、小規模事業者が自社の経営を見直し、自らが持続的な経営に向けた経営計画を作成した上で行う販路開拓や生産性向上の取組を支援する制度です。
類型 | 通常枠 | 特別枠(新設) | ||||
賃金引上げ枠 | 卒業枠 | 後継者支援枠 | 創業枠 | インボイス枠 | ||
補助率 | 2/3※ | 2/3 | ||||
補助上限 | 50万円 | 200万円 | 100万円 |
DX(デジタルトランスフォーメーション)投資促進税制
「DX投資促進税制」とは、部門・拠点ごとではない全社レベルのDXに向けた計画を主務大臣が認定した上で、それに関する経費の一定額につき税金を優遇するものです。
DXの実現に必要なクラウド技術を活用したデジタル関連投資に対し、税額控除(5%/3%)または特別償却30%のどちらかを選ぶことができます。
対象設備 | 税制控除 | 通常枠 |
|
3% | 30% |
5% | ||
|
適用期限:令和4年度末まで
投資額下限は、売上高比0.1%以上、投資額上限:300 億円(300 億円を上回る投資は300億円まで)となります。
また、税額控除上限は、「カーボンニュートラル投資促進税制」と合わせて当期法人税額の20%までです。
なお、適用を受けるためには、デジタル要件(データ連携・共有、クラウド技術の活用、DX認定」の取得)と企業変革要件(全社の意思決定に基づくものであること、一定以上の生産性向上などが見込まれること等)などを満たす必要があります。
コロナ禍において経営改革に取り組む企業向け「繰越欠損金の控除上限」の特例
コロナ禍の厳しい経営環境の中でポストコロナに向けて、事業再構築等に取り組んでいく企業については、繰越欠損金の控除上限が引き上げられます。
具体的には、投資内容を含む事業計画を事業所管大臣が認定し、認定を受けた企業についてコロナ禍に生じた欠損金を対象に、最長5 事業年度の間、控除上限を投資の実行金額の範囲内で最大100%(現行50%)へ引き上げるものです。
これにより、欠損金の早期処理とともに、V字回復や成長が望めるようになります。
研究開発税制(所得税・法人税・法人住民税)
研究開発税制は、積極的に研究開発投資を維持・拡大する企業を後押しするとともに、リアルデータ・AI を活用してビジネスモデルを転換する等、DXの推進を目的とした税制です。
これにより、主に以下のような税制優遇を受けることができます。
① 控除上限を法人税額の最大45%;50%まで引き上げ
※ただし、コロナ前(2020 年1 月より前に終了する事業年度)と比較し、「売上が2%以上減少しているにも関わらず」、「試験研究費を増加させる」ことが必要。
② 研究開発費を維持・増加させるための税額控除率の見直し
③ クラウドを通じてサービスを提供するソフトウェアに関する研究開発を対象に追加
自社株式等を対価とするM&Aの円滑化
この制度は、会社法改正で創設された株式交付制度を利用し、買収会社が自社の株式を買収対価としてM&Aを行う場合、買収対象会社の株主の株式譲渡益の課税をこれまでの株式交付時期から株の売却時にまで繰り延べるものです。
株式交付制度により、買収会社では手元資金を上回る大規模な事業再編がしやすくなるとともに、対象会社の株主側でも買収企業の株を持つことで企業価値向上へのインセンティブが生じることが期待できます。
また、この手続きを行う際には事前認定を不要とし、現金を対価の一部に用いることも可能(総額の20%まで)となります。
まとめ
「DXレポート」において、「2025 年の崖」が提起されて以来、企業のDX化が早急に求められており、経営者においてもこれを自社の問題として捉え、積極的に取り組んでいくことが喫緊の課題となっています。
しかし、DX化は思いついたからすぐにできるというものではなく、安易な対策はかえって失敗や非効率な結果の元となります。
そのため、企業が確実にDXをすすめていくためには、まずはDXについての考え方や取り組みなどをレポートなどで学んだうえで実践することが重要といえます。
また、DX化についてはこれをサポートする補助金や税制も準備されているため、これらを活用すると、取り組みのための負担を減らすことができます。
経営計画書、規定書、マニュアルの電子書籍サービス
皆さんは電子書籍を利用されたことはありますでしょうか。
スマートフォンやタブレット1台で、何百冊もの本を手軽に読むことができるので便利です。
MOTOMURAの「経営計画書電子書籍アプリ」は、経営計画書やマニュアル、社内規定などをスマートフォン1台で閲覧することができます。
DXの時代、経営計画書を電子化したいという声に応えてサービスを開始し、大きな反響を呼んでいます。
全従業員がアプリを通じて簡単に書類を共有・管理できるようにしたことで、以下のような効果がありました。
- モノの数を減らすことができる
- 日常業務で活用可能
- メモは手書きでもテキストでもOK
- 何度でも内容を変更可能
- 本文にリンクを貼ることで、他のサイトへのリンクが可能
企業によって必要な情報や資料は異なりますので、御社のニーズに合わせた本棚を作ることができます。
電子書籍アプリの4つの特徴
1.必要な情報を集めてまとめて本棚で管理できる
経営計画資料やマニュアル・チェックリストなどの資料はどこの棚に入れたか、どのフォルダに入っているか、バラバラになってしまいがち。それらの必要な情報を自分の会社だけのオリジナル本棚を作ってまとめて管理。PDF管理なので文字にリンクを付けたり動画や音声ファイル添付なども簡単です。
2.方針や内容の修正・変更はいつでも何度でもできる
紙ではなかなか面倒だった経営計画書の方針変更や内容修正も、電子書籍ならいつでも何度でも変更できます。社員1人1人が書き加える必要がなく、新しいデータをアップロードするだけで全社員の経営計画書が一発で変更できます。
3.手書きやポストイット(付箋)、マーカーでメモも手軽に
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