最近はコロナウイルス終息に伴い、大手企業では過去最高利益を計上していますが、ほとんどの個人事業では、円安やウクライナ問題による物価高により、以前よりも厳しい経営状況となっているところが増えています。
このようなときに、活用したいのが「税金や年金の減免制度」です。
とくに頭割りで課税がされている健康保険や国年年金については、扶養家族が多い世帯が利用した場合の減免額は大きなものとなります。
この記事では、個人事業主の方が利用できる税金や年金の免除・減額手続きについて解説いたします。

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個人住民税の減免について
個人住民税により減免が決まる
住民税は、個人が支払う個人住民税と法人が支払う法人住民税に分けられます。
このうち個人住民税は、公共施設、上下水道、ごみ処理、学校教育などの行政サービスの活動費に充てる目的で徴収されるその地域の住民に課される地方税であり、市町村民税と道府県民税から構成されます。
住民税は所得が低い人の場合には、徴収される額がさほど大きくないため、それ自体では大きな負担とは感じにくいかもしれません。
しかし、一部の税金の減免や、国から給付される各種支援金の多くはこの住民税をもとに判定されるため、「住民税の課税額がいくらか?」や「非課税となっているか?」は、これらの減免や給付に影響し、総額では数十万円~百万円以上の差となることもあります。
個人住民税の仕組み
個人住民税には、所得に応じた負担を求める「所得割」と、所得にかかわらず定額の負担を求める「均等割」があります。
なお、この所得とは、企業から受け取る給与や、事業による利益をいいます。
所得割の税率は、所得に対して一律10%とされており、前年の1月1日から12月31日までの所得にもとづいて算定されます。
これに対して均等割は、個人住民税は「地域社会の会費」的なものとして徴収されるもので、通常5,000円(市町村民税3,500円、道府県民税1,500円)※と定められています。
※東日本大震災を踏まえ、地方団体が実施する防災費用を確保するため、2014(平成26)年度から2023(令和5)年度までの10年間、市町村民税・道府県民税ともに500円ずつ引き上げられています。
なお、道府県民税には、所得割・均等割のほかにも、一定の株式などによる利益についても課税の対象とするもの(利子割、配当割、株式等譲渡所得割)があります。
所得税は以下の算定式により、計算されます。
(所得金額 - 所得控除額) × 税率 - 税額控除額 = 所得割額
所得割額 + 均等割額 = 住民税額
このように所得税では、「所得控除額」と「税額控除額」という2つの控除ができるという特徴があります。
「所得控除」
所得控除は、所得金額から差し引かれるものであり、社会保険料控除、共済金の掛金控除、生命保険料控除、寡婦・ひとり親控除、扶養控除、基礎控除、医療費控除などがあります。
東京都の場合の住民税と所得税の主な所得控除額は以下の通りとなります。
種 類 | 令和4年住民税の所得控除額 | 令和3年所得税の所得控除額 |
雑損控除 | 下記のいずれかの多い額 ・損失額-総所得金額×10% ・災害関連支出の金額-50,000円 | 同左 |
医療費控除 | 令和3年度中に支払った医療費-総所得金額×5% | 同左 |
社会保険料控除 | 令和3年度中に支払った額 | 同左 |
小規模共済控除 | 令和3年度中に支払った額 | 同左 |
生命保険料控除 | 一般生命保険料28,000~35,000円 介護医療保険料28,000円 個人年金保険料28,000~35,000円 上記合計限度額は70,000円 | 40,000~50,000円 40,000円 40,000~50,000円 上記合計限度額は120,000円 |
地震保険料控除 | 25,000円 | 50,000円 |
障害者控除 | 一人につき260,000円 特別障害者300,000円 | 270,000円 400,000円 |
寡婦控除 | 本人が寡婦260,000円 | 270,000円 |
ひとり親控除 | 本人がひとり親300,000円 | 350,000円 |
勤労学生控除 | 本人が勤労学生260,000円 | 270,000円 |
配偶者控除 | 通常 最高330,000円 70歳以上の配偶者最高380,000円 | 380,000円 480,000円 |
配偶者特別控除 | 最高330,000円 | 380,000円 |
扶養控除 | 一般の扶養親族330,000円 (16歳以上19歳未満) 特定扶養親族450,000円 (19歳以上23歳未満) 一般の扶養親族330,000円 (23歳以上70歳未満) 老人扶養親族380,000円 (70歳以上) | 380,000円 630,000円 380,000円 480,000円 |
基礎控除 | 最高430,000円 | 480,000円 |
参考:東京都主税局
「税額控除」
税額控除は、税率を乗じた後の算出金額から一定金額を差し引くもので、主にものとしては配当控除、寄付金特別控除、ふるさと納税控除、調整控除、住宅ローン控除などがあります。
以上のように住民税では、所得割額の割合が多いことから税額を減らすには、
・ 経費額を増やす(これにより所得額そのものを少なくする)
・ 所得控除額を増やす(共済金の掛け金を多く支払う、医療費控除を利用するなど)
・ 税額控除額を増やす(ふるさと納税を限度額まで活用するなど)
などの対策が有効となります。
住民税の減免について
住民税は一定の事由がある場合は、減免措置を受けることができます。
住民税の減免は、所得割と均等割りの両方が非課税となる場合と、所得割のみが非課税となる場合の2通りがあります。
たとえば、新宿区の場合は、次の通りとなります。
① 所得割、均等割とも課税されない方
- 生活保護法による生活扶助を受けている
- 障害者、未成年者、寡婦またはひとり親で前年中の合計所得金額が135万円以下の方
- 前年中の合計所得金額が、
{35万円×(同一生計配偶者及び扶養親族の数+1)+31万円}以下の方
※ ただし、単身者は45万円以下の方
仮に妻と子供2人のケースでは、140万円+31万円=171万円以下であれば、所得割と均等割の両方が非課税となります。
② 所得割のみが課税されない方
- 前年中の総所得金額等が、
{ 35万円×(同一生計配偶者及び扶養親族の数+1)+42万円}以下の方
※ただし、単身者は45万円以下の方
仮に妻と子供2人のケースでは、140万円+42万円=182万円以下であれば、所得割が非課税となります。
このように所得割、均等割とも課税されない場合と所得割のみが課税されない場合とでは、同じ家族構成であれば11万円の差しかないこととなります
ただし、住民税免除の基準は基本的に同じですが、詳細な計算方法や金額は市町村により異なるため、詳しくはご自身の市町村に確認してください。
なお、所得税の事業所得の計算においては、妻が青色専従者となっていて給与を支払っている場合、青色事業専従者給与を差し引いた後の額が、事業所得の金額になります。
そのため、青色事業専従者の給与を増やしても、節税とはならないことに注意してください。
所得税の減免について
所得税の減免には、災害等で損害を受けたときに利用できる、「雑損控除」と「災害減免法による所得税の軽減免除」の2つの方法がありますが、いずれも確定申告による手続きが必要となります。
「雑損控除」とは?
「雑損控除」とは、災害や盗難、横領などで資産に損害を受けたときに利用できる方法で、これにより一定の金額の所得控除を受けることができます。
所得税そのものの減免ではなく、所得から一定の控除ができるものとなります。
ただし、火災や震災、風水害、東南、横領は対象となりますが、詐欺や恐喝については対象外となることに注意が必要です。
雑損控除ができるのは、以下のいずれかの金額の多い方となります。
① (損害金額+災害等関連支出の金額-保険金等の額)-(総所得金額等)×10%
② (災害関連支出の金額-保険金等の額)-5万円
このように損害額のすべて控除の対象となるわけではありません。
また、その資産が「棚卸資産」、「事業用固定資産」、「生活に通常必要でない資産」※に該当するものである場合には、控除の対象とはなりません。
※ 別荘など趣味、娯楽、保養または鑑賞の目的で保有する不動産、ゴルフ会員権、貴金属(製品)や書画、骨董など1個または1組の価額が30万円超のものなど生活に通常必要でない動産などが対象となります。
「損害金額」とは、損害を受けた時の直前におけるその資産の時価を基にして計算した損害の額となります。なお、災害により被害を受けた住宅や家財、車両の損失額については、別途に定める「合理的な計算方法」で計算することができます。
「災害等関連支出の金額」とは、災害により滅失した住宅、家財などの取壊し・除去費用や、盗難や横領により損害を受けた資産の原状回復をするための支出をいいます。
雑損控除の適用を受けるためには、確定申告書の「雑損控除」の欄に控除額を記入するほか、支出や損失に関する書類を添付し、申告を行う必要があります。
なお、損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後(3年間が限度)に繰り越して、各年の所得金額から控除することができます
災害減免法による所得税の軽減免除
「災害減免法による所得税の軽減免除」とは、災害によって住宅や家財に一定の損害を受けた場合に、その額に応じて所得税が減免される制度です。
災害によって受けた住宅や家財の損害金額(保険金などにより補償される金額を除く)が
- その時価の2分の1以上で、かつ、災害にあった年の所得金額の合計額が1,000万円以下
の場合に、その年の所得税が次のように軽減されるかまたは免除されます。
所得金額の合計額 | 軽減または免除される所得税の額 |
500万円以下 | 所得税の額の全額 |
500万円を超え750万円以下 | 所得税の額の2分の1 |
750万円を超え1,000万円以下 | 所得税の額の4分の1 |
ただし、その災害による損失額について、雑損控除の適用を受ける場合は、本制度は利用できません。
災害減免法の適用を受けるためには、確定申告書等に適用を受ける旨、被害の状況および損害金額を記載して、必要書類を添付して提出する必要があります。
なお、給与・公的年金等及び報酬等の支払を受ける方が災害を受けたときには、一定の要件のもとで所得税の徴収猶予や還付を受けられる場合があります。
国民健康保険料の減免について
国民健康保険は、被用者保険、後期高齢者医療制度に加入されていないすべての方を対象とした医療保険制度です。国民健康保険は前年の所得に応じて課税されますが、所得の少ない場合にはその程度に応じて軽減・免除を受けることができます。
新型コロナウイルス感染症の影響による減免
新型コロナウイルス感染症の影響により令和4年の収入が減少した世帯で、国民健康保険料の納付が困難となった場合は、国民健康保険料の減免が受けられます。
〇 減免の対象となる要件と割合
<減免の対象となる保険料>
令和4年度分の保険料(令和4年4月1日から令和5年3月31日までに納期限を設定しているもの)が減免の対象となります。
<減免の要件>
以下の要件に該当する場合は、保険料が免除または減額されます。
① 全額免除
新型コロナウイルス感染症により、令和4年度中に主たる生計維持者が死亡し、または重篤な傷病(治療に1か月以上要する等)を負った世帯の方
② 保険料の全額または一部の減額
新型コロナウイルス感染症の影響により、主たる生計維持者の令和4年の事業の減少が見込まれ、以下の要件に該当する世帯の方
- 国民健康保険と後期高齢者医療保険は、①~③のすべてに該当する場合
- 介護保険は、①と③に該当する場合
① 事業収入等の種類ごとに見た令和4年の収入のいずれかが、令和3年と比べて30%以上減少する見込みであること。
※ ただし、国や都道府県からの各種給付金は除きます。
※ 収入の種類は、事業収入・不動産収入・山林収入・給与収入の4種類のみが対象となります。
② 令和3年の合計所得金額が1,000万円以下であること
③ ①以外の収入に係る令和3年の所得および雑所得の合計額が400万円以下であること
ここで①については「収入」が判定の対象となっているのに対し、②と③については「所得」が対象となっていることに注意が必要です。
なお「主たる生計維持者」とは、その世帯の家計を維持するため、生活費を主に負担している方をいいますが、必ずしも世帯主である必要はありません。
<保険料減免額の算定式>
いくらの減免となるかは、次の計算式により求めることができます。
減免対象の保険料額※1(A×B/C) × 主たる生計維持者の令和3年の所得※2の合計に応じた減額又は免除の割合(d)
※1
減免対象の保険料額=A×B/C |
A:当該世帯の被保険者全員について算定した保険料額 |
B:世帯の主たる生計維持者の減少することが見込まれる事業収入等に係る令和3年の所得額(減少することが見込まれる事業収入等が2以上ある場合はその合計額) |
C:被保険者の属する世帯の主たる生計維持者及び当該世帯に属する全ての被保険者につき算定した令和3年の合計所得金額 |
※2
令和3年の合計所得金額 | 減額又は免除の割合(d) |
300万円以下であるとき | 10分の10 |
400万円以下であるとき | 10分の8 |
550万円以下であるとき | 10分の6 |
750万円以下であるとき | 10分の4 |
1,000万円以下であるとき | 10分の2 |
主たる生計維持者の事業の廃止や失業の場合は、主たる生計維持者の令和3年の所得の合計額にかかわらず、【表2】の「10分の10」が適用されます。
たとえば、次の条件の場合の減免の計算は、以下の通りとなります。
【二人世帯(世帯主・配偶者)で事業収入のみの場合】
世帯の主たる生計維持者:世帯主
前年中の世帯の所得金額:(世帯主)事業所得350万円、(配偶者)所得なし
減少が見込まれる収入に係る所得:(世帯主)事業所得350万円
(A)減免の対象となる保険税:42万円
(B)世帯の主たる生計維持者の減少が見込まれる収入にかかる前年中の所得額:350万円
(C)世帯の主たる生計維持者及び世帯の被保険者全員の前年中の合計所得金額:350万円
(A)×(B)÷(C)= 420,000 × 3,500,000 ÷ 3,500,000 = 420,000 円
減額割合(D)= 10分の8(主たる生計維持者の前年中の合計所得金額が300万円超400万円以下)
減免額 = 420,000 × 10分の8 = 336,000 円
減免後保険税 = 420,000 - 336,000 = 84,000 円
【二人世帯(世帯主・配偶者)で複数の所得がある場合(減収が見込まれる収入が複数の場合)】
世帯の主たる生計維持者:世帯主
前年中の世帯の所得金額:(世帯主)給与所得200万円、事業所得100万円、(配偶者)給与所得300万円
減少が見込まれる収入に係る所得:(世帯主)給与所得200万円及び事業所得100万円(合計300万円)
(A)減免の対象となる保険税:86万円
(B)世帯の主たる生計維持者の減少が見込まれる収入にかかる前年中の所得額:300万円
(C)世帯の主たる生計維持者及び世帯の被保険者全員の前年中の合計所得金額:600万円
(A)×(B)÷(C)= 860,000 × 3,000,000 ÷ 6,000,000 = 430,000 円
減額割合(D)= 10分の10(主たる生計維持者の前年中の合計所得金額が300万円以下)
減免額 = 430,000 × 10分の10 = 430,000 円
減免後保険税 = 860,000 - 430,000 = 430,000 円
参考:たつの市HPより
以上のように減免を受けられる基本的な要件を満たす場合に、いくらの減額が受けられるかは令和3年の合計所得金額がいくらになるかにより決定されますが、これが300万円以下の方については100%の減額が適用されることとなります。
<減免・減額の申請に必要な書類>
保険料の減免・減額の申請には、次の書類が必要となります。
「共通で提出するもの」
〇 減額・免除申請書
〇 申請者の本人確認ができるもの(運転免許証、パスポート等の写し)
「事由別に提出するもの」
〇 コロナウイルス感染症による死亡、または重篤な傷病の場合
- 死亡診断書、医師の診断書等の写し(新型コロナウイルス感染症が原因であること、入院期間が記載されていること)
〇 コロナウイルス感染症による収入減の場合
- 収入申告書、主たる生計維持者の令和3年中の収入金額がわかるもの(確定申告書または源泉徴収票等の写し)
- 主たる生計維持者の令和4年1月以降の収入金額がわかるもの(事業等の売上や収入を記録している帳簿や通帳または給与明細書等の写し)
- 事業を廃止したことがわかるもの(廃業届・閉店のお知らせ等)
- 失業したことがわかるもの(離職票・退職証明書等)
ただし、必要となる書類は各市区町村で変わるため、詳細はお住いの辞退に確認してくださいります。
<減免・減額申請の注意点>
- 令和4年中の収入額について、申請月以降の月の収入見込み額は、令和4年1月から申請月の前月までの収入額の「月平均額」となります。
- 収入が年間で30%以上減少する見込みであっても、令和3年中の対応する所得が0円もしくはマイナスの場合は減免対象外となります。
- 減免等の適用を受けるには、令和3年中の所得について住民税の申告をしていることが必要となります。※令和3年中の所得が0の場合でも必要。
- 雑収入が30%以上減少していても、減免の対象とはなりません。
保険料の均等割額の減額(減額賦課)
前年中の所得が一定の基準以下の世帯については、均等割額が1号減額の場合は7割、2号減額の場合は5割、3号減額の場合は2割に軽減されます。
減額内容 | 令和4年度の条件 | |
1号減額 | 均等割額を7割軽減 ※未就学児は8.5割 | 世帯主と被保険者全員の前年中の総所得金額等が下記の基準以下 43万円+(給与または年金所得者の合計数-1)×100,000円 |
2号減額 | 均等割額を5割軽減 ※未就学児は7.5割 | 世帯主と被保険者全員の前年中の総所得金額等が下記の基準以下 43万円+(給与または年金所得者の合計数-1)×100,000円+285,000円×世帯の加入者数 |
3号減額 | 均等割額を2割軽減 ※未就学児は6割 | 世帯主と被保険者全員の前年中の総所得金額等が下記の基準以下 43万円+(給与または年金所得者の合計数-1)×100,000円+520,000円×世帯の加入者数 |
- 65歳以上の方で年金所得がある場合、年金所得からさらに15万円が控除されます。
- 青色専従者給与額及び事業専従者控除額は必要経費に算入しません。
また、それぞれの事・業専従者が当該事業から受ける給与所得の金額はないものとします。
- 長期譲渡所得、短期譲渡所得に係る特別控除はないものとします。
- 雑損失の繰越控除を適用した後の金額になります。
一般減免
災害、解雇、倒産、病気などで生活が著しく困難となった場合に、預貯金など利用できる資産等を活用したにもかかわらず、保険料を納められなくなったときは減免を申請することができます。
未就学児に係る均等割保険料の減額
令和4年度から、子育て世代への支援として、未就学児に係る均等割保険料が5割に減額されます。なお、減額を受けるにあたって、申請等の必要はありません。
その他に国民健康保険の減免制度としては、旧被扶養者の減免、東日本大震災原発事故による減免、非自発的失業者の保険料軽減などがあります。
国民年金の減免について
国民年金の保険料免除制度とは、所得が少なく本人・世帯主・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請される場合は前々年所得)が一定額以下の場合や失業した場合など、国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合に、申請をすることで納付が免除される制度です。
<免除の種類>
次のいずれかに該当する方は、免除を申請することができます。
① 退職(失業等)により納付が困難な方
② 新型コロナウイルス感染症の影響により納付が困難な方
<申請の対象>
①については、申請者本人、世帯主または配偶者のいずれかが退職(失業等)された方
この場合には、退職(失業等)された方の前年の所得をゼロとして審査します。
②については、以下のすべての要件を満たす方
- 新型コロナウイルス感染症の影響による収入の減少
- 所得が相当程度まで下がった場合
令和2年2月以降の所得の状況からみて、所得見込額が、国民年金保険料免除基準相当になることが見込まれること
<免除の判定ライン>
免除の判定をする際の所得のラインは、次の算定式で求められます。
免除の種類 | 免除の基準額 | 免除額 | 支払保険料 |
全額免除 | 35万円×(本人、扶養親族)+32万円 | 16,590 円 | 0円 |
3/4免除 | 78万円 + 38万円×3 + 社会保険料等控除額 | 12,440 円 | 4,150 円 |
3/4免除 | 118万円 + 38万円×3 + 社会保険料控除額 | 8,290 円 | 8,290 円 |
3/4免除 | 158万円 + 38万円×3 + 社会保険料控除額 | 4,150 円 | 12,440 円 |
※ 全額免除の場合の扶養人数だけは、本人+16歳以上19歳未満の数で計算します。
※ 全額免除の判定の場合には、上記の式だけで控除はありません。
しかし、3/4免除以降の判定をする場合には、医療費、雑損、社会保険料控除、障害者
控除(基礎控除を除く)などが控除できます。
※ 免除の対象となるかどうかの所得は確定申告書の「所得金額等の合計」の金額で算定されます。
※ 全額免除の場合の所得金額は、繰越欠損金がある場合でも、繰越欠損金控除前の額となります。
<免除を受けた場合の年金額>
免除を受けた場合に受給できる年金額は、以下の通りとなります。
① 全額免除
保険料を全額納付した場合の年金額の2分の1(平成21年3月分までは3分の1)
② 4分の3免除
保険料を全額納付した場合の年金額の8分の5(平成21年3月分までは2分の1)
③ 半額免除
保険料を全額納付した場合の年金額の8分の6(平成21年3月分までは3分の2)
④ 4分の1免除(納めた保険料額
保険料を全額納付した場合の年金額の8分の7(平成21年3月分までは6分の5)
まとめ
事業主にとって各種税金や年金の負担は重く、とくに収入が少ない場合はその負担感はさらに大きなものとなります。
しかし、これらの税金等については一定の所得以下の場合には免除や減額の適用を受けることができるため、要件に該当する場合には積極的に利用しましょう。
ただし、これらの免除や減額は自ら申告や申込み手続きをしなければ利用できないものが多いため、手続き漏れがないよう注意する必要があります。