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業種、業界別「販売計画書」の作成方法・作成事例を解説!

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新たな事業を行う際、事業計画書の中で、非常に重要な意味を持っているのが「販売計画書」です。販売計画書の数値や根拠に説得力があれば、事業自体が採用されやすくなります。

この記事では、販売計画書の意義や作成上のポイント、具体的な作り方を、事例をもとに解説します。

事業計画書の中の販売計画書の意義

事業計画書の中で、販売計画書は大きな意味を持っています。

ビジネスですから、一体いくらの売上が上がるかは、経営者自身や金融機関など、全ての関係者にとって最重要な関心事項であるからです。

投資家や金融機関、決裁者を納得させる

そのビジネスに対して資金を投じようとする人たちは、「投資金に対してリターンが期待できるであろうか?」「貸付金をきちんと返済してもらえるだろうか?」という強い関心を持っています。

資金が無ければ、そもそもビジネスは実行できないわけですから、販売計画書は重要なものになります。さらに、社内の上層部を納得させるためにも、販売計画書は重要です。多くの経営資源を投入したり、新たな事業に社運を賭けたりするわけですから、投資家と同様に重要な資料になります。

社内を動機づけるきっかけ

販売計画とは、一種の目標です。客観的な数値に留まらず、社内に対しては努力目標を加えて販売計画とする場合が多く見られます。販売計画書の数値に根拠があれば、社員の動機付けにも役立ちます。

反面、根拠のない、勢いだけの販売計画では社員の意欲を削いだり、顧客に対して押し込み販売をしたりすることになります。

その後の事業の実行体制を決定する

さらに、販売計画が決まると、必然的にその売上を達成するための組織、設備、資金が明確になります。そしてその後、計画→実施→検証→改善のいわゆるPDCAを回していくことになります。

販売計画は、いわば実行体制の出発点に立っていると言えます。販売計画に信頼性が無いと、その後の実行体制にも大きな影響を及ぼしてしまうということです。

販売計画書のポイント

投資家や決済者を納得させる販売計画を作成する上で、重要なポイントには、以下のような項目が考えられます。

数値の前に納得できる事業戦略を作ること

販売数値の元になるのはビジネスモデルです。ビジネスモデルそのものに説得力が無ければ、販売数値は絵に描いた餅です。

ビジネスモデルの切り口は「誰に」「何を」「どのように」です。この切り口が明確であればあるほど、その後の販売数値に説得力が増します。

【誰に(ターゲット)】

製品やサービスを購入してくれる相手は誰なのかを明確にします。ターゲットを明確にするためには、さらに以下の切り口でターゲット像を明確にしていきます。

①地理的要因・・・・・・・・どこに住んでいるか。

②人口統計学的要因・・・・・性別や職業、収入などの属性要因。

③心理的要因・・・・・・・・消費者のパーソナリティ、価値観、ライフスタイルなど。

ターゲットが明確になれば、「販売数量」が決まります。

最近は、よりターゲットを明確にするために、「都心のオフィスに通勤し、週末はフィットネスジムに通い、趣味はカフェ巡りとケーキ作りの35歳の独身女性」というように、ライフスタイルや嗜好が想像できるようなペルソナ(人物像)まで描くこともあります。

【何を】

商品やサービスを何にするかということです。さらに、その商品やサービスによって消費者が満足するポイントは何かを明確にしていきます。商品が決まれば「商品価格」が決まります。

また、商品価格には以下のような決定方法があります。

〇コストプラス法 ・・・・ 仕入原価や製造原価に見込み利益を加える方法。

〇競争価格法 ・・・・・・ ライバル店の価格を参考にする方法。家電量販店などが採用。

〇マーケットプライス法・・消費者が買っても良いと思える価格設定の方法。

〇慣習価格法 ・・・・・・自動販売機の飲料など、習慣的に低下が存在するもの。

【どのように】

商品やサービスの提供方法です。近年は店舗販売だけでなく、ネット販売など、消費者への販売方法は多様化しています。

また、商品の流通経路(チャネル)をメーカー直販にするのか、どんな卸売業や小売業を使うのかなどによっても販売額は変わってきます。

客観的事実に基づく根拠

信頼できる統計資料の活用し、誰もが納得できる数値をもとに販売額を決定していくことが重要です。その上で、努力目標を加減し、販売計画書としていくことが妥当です。

統計資料は、一から市場調査をする場合もありますが、国の統計資料を閲覧したり、調査会社のデータなど既存資料を利用したりする場合もあります。

一般的に既存資料を利用する方が、コストや期間を節約することができます。

       一次資料 ・・・市場調査により収集
統計資料
                     社内資料(過去の売上、顧客データ等)
       二次資料 ・・・既存資料
                     公的資料(国勢調査、家計調査年報等)

販売計画書の作成方法(小売業の事例)

例えば、店舗で物品を販売する小売業を例に挙げると、以下のステップで販売計画を作成していくと良いでしょう

1.商圏内世帯数の調査

立地する店舗の商圏を設定し、その商圏内の世帯数を集計します。

2.市場規模の計算

その都市の家計調査年報(注1)から、その商品の世帯当たりの年間消費額を調査し、世帯数にかけて市場規模を計算します。

市場規模 = 世帯数 × 1世帯当たりの年間消費額

※注1:【家計調査年報】
家計調査年報を利用すると、商品品目ごとに、1世帯当たり年間いくら消費しているかが調査できます。

【参考】総務省統計局 家計調査

3.獲得できるシェアを設定する

商圏内のライバル店の売場面積を調査し、獲得できるであろうシェアを計算します。

 シェア = 自店の売場面積 ÷ 商圏内の総売り場面積(自店も含む)

※注意点
シェアは店舗の競争力を加味して算出すべきですが、この場合、競争力は売場面積に比例すると仮定し、自店を含む商圏内の総売場面積のうち、自社の売場面積の割合でシェアを算出しています。飲食業の場合は客席数データを利用したりします。

4.販売可能金額の計算

 販売可能金額 = 市場規模 × シェア

業種別の販売額の算出例

販売額の算出は、業種業態によって大きく違いがあります。日本政策信用金庫では、融資を受ける際の参考資料として、業種業態ごとの特性を紹介してくれています。

・部品製造業、印刷業、運送業など

(設備が直接売上に結びつき、設備単位当たりの生産能力がとらえやすい業種)
売上 = 設備の生産能力 × 設備数

・コンビニエンスストアやスーパーなど

(販売業で店舗売りのウェイトが大きい業種)
売上 = 1㎡(または1坪)当たりの売上高 × 売場面積

・飲食店営業、理容業、美容業などサービス業関係業種

売上 =  客単価 × 設備単位数(席数) × 回転数

・自動車販売業、化粧品販売業、ビル清掃業など(労働集約的な業種)

売上 = 従業者1人当たり売上高 × 従業者数

【参考】日本政策金融公庫 国民生活事業 各種書式ダウンロード 売上高の計算方法について
https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/kaigyourei08_121115.pdf

まとめ

事業計画書の中の販売計画書の役割や意義、作成上のポイント、業種業界ごとの作成事例などをご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?

販売計画書は、事業計画書の中で中核をなすものであり、説得力ある書類を作ることで、ビジネスの成功度を高めることができます。

その元になっているのが、しっかりしたビジネスモデルであり、販売計画書の数値に信頼性が乏しい場合は、ビジネスモデルそのものから見直す必要もあります。

しっかりしたビジネスモデルを元に、信頼できる販売計画書を作成し、ビジネスを成功に導いていきたいものです。

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